eスポーツってなんだ? 頭脳スポーツのこれからについて

頭脳スポーツやeスポーツについてここで学んでいきましょう。

ゲーム脳はトンデモ科学だった?

 ゲーム脳という言葉をご存知ですか? これは日本大学の文理学部体育学科教授および、日本大学大学院文学研究科教育学専攻教授の「森昭雄」が行った疑似科学本によって一世を風靡した流行語で、実際にその本も35万部もの大ヒットを記録しました。冷静になって考えてみれば、文学研究科、教育課、はたまた体育科学科の教授が出した脳科学の本に信憑性が果たして本当にあるのかどうか疑問極まりないものですが、子を持つ親や教育関係者を中心に受け入れられた事もあって、未だに、「暗い部屋で本を見たりゲームやテレビを見ると目が悪くなる」といったような風説並に市民権を得ている言葉だと思われます。

 彼の発言によると、テレビゲームやネットゲーム、はたまたボードゲーム(つまりはチェスや将棋等)、更にはパソコンや携帯、スマートフォン、テレビ番組、映画等等、要するに娯楽とされるコンテンツ(ただし本は除く)に触れることによって、脳の前頭前野が壊れ、機能しなくなってしまい認知症や、アルツハイマー病、はたまた自閉症やありとあまねく精神障害を引き起こすと本書で述べているのですが、もうなんというかコメントを差し控えたくなるほどまでに無茶苦茶な本なのです。彼の主張をかいつまんで話すと、このような世の若者がおかしくなるのは全てゲームや若者が好きそうなコンテンツが要因ということらしく、ゲームを実際にやっていなくても、それらの動向に当てはまるのであれば、「ゲーム脳と同じ脳の状態になっている」という事らしいのです。

スポーツもネットでやる時代

こうしたトンデモが広がるのは利権と需要が要因

 このような『ゲーム脳の恐怖』の著者である森昭雄は、自らの著書の中でしきりに自作した「脳波活躍定量化計測装置」について紹介しています。これは、彼地震が特許を取得したもので、値段が90万もするものだったのですが、正直な話これの販促をするために本を書いたのではないかという節もあります。何故なら、このような機械と同程度の脳波測定器が10万円程度で買えたことや、その測定器では異常脳波とされているデルタ波やシータ波の計測が全く出来ない上に、実際に測定器を利用する上で必須なことをおおかた全て無視して実験を実行していたという証拠があるからです。(その証拠はお間抜けなことに森自身が「ゲーム脳の恐怖」という本に自ら書いている)

 では何故、そんなむちゃくちゃなエセ科学がマスコミに取り上げられたのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、それは非常に簡単な問題です。何故ならマスコミにとってテレビを見る時間を減らすゲームは敵のような存在であったため、更には殆どの親が子供が勉強をせずに遊んでばかりいることに対して悩みを抱えていることから無批判に受け入れられるだろう、視聴率を稼げるだろうと思われたからなのです。要するに「金になるし、ダマされる人がいそうだし、批判する人は批判できる立場にいない」ということです。これに関してはアニメやマンガ等枚挙にいとまがないけで、大昔から繰り返されていることです。利権からそのエセ科学を喧伝して回った証拠に、森自身は「ゲームだけでなくテレビも脳を駄目にする」という風な発言もしているのですが、それに関しては完全に握りつぶされているわけです。つまり、このような本の大ヒットした訳の中にはそのような利権周りの思惑と、それにものの見事釣られ踊らされた人たちが沢山いたからという話があるのです。

 しかし「子供にゲームばっかりをやらせると物事を考えなくなり、更に本を読まないせいで異常な脳になる」という言説に踊らされ、実際にそのトンデモ本の詳細を確認せずに正しいと信じ喧伝して回るというのは、ある意味その言説の一種の証明となるのかもしれません。何故なら「本を読まない人物が、本を読まないと脳が非常になる」と触れ回っていて、更には『本の詳細を正しく伝えて』も「本の詳細は関係ありません。私はゲーム脳を信じる」と言って憚らない人も一定数いるそうだからです。

 ちなみにこういった「自分に都合のいい情報ばかりを集め、それにより自己の先入観を補強する」という思考現象のことを確証バイアスと言い、これは脳の異常や健康とは関係なく、人間誰しも陥る確率のある思考現象だと言われています。勿論、このような『ゲーム脳の恐怖』という本も確証バイアスにもとづいて研究を行い、確証バイアスにもとづくように結果を解釈している本です。

更にはeスポーツや頭脳スポーツも批判

 このような森という人物ですが、更に「将棋やチェスもゲーム同様頭がおかしくなります。本を読みなさい」といったような発言も公然と繰り返していて、勿論それが文学部の教授の言う高度なジョークであればまだまだ笑って済ませるものですが、そうではなく本気で言っていて、冷静な批判を行っている人物に対しても、「ゲーム脳の人だからそういうことを言うんですよ」とまるで話にならないそうです。

 このような発言が波及したからか、日本ではeスポーツや頭脳スポーツが市民権を得られていないということもあるかもしれません。しかし、確かにこうした思考スポーツに関して、元々日本はどうしてもただの子供の遊びという認識があるため、彼の発言がなかったとしてもそれらが市民権を得る事は、無かったかと思われます。

 しかしそれは、江戸時代前期の時期に、数学といったような勉強が国民の間で流行った折にも同じような会話が繰り返された記録があって、「勉強等という無駄な遊びは~」という話が多くあったようなので、いずれなにかしらの転機によってころっと話が変わることもあるのかもしれません。要するにそれをやって役に立つかたたないかです。

ゲーム脳ですか?

これからの頭脳スポーツのためには

 こうした風評被害のせいもあって日本では頭脳スポーツに対する理解が得られておらず、あくまでも子供の遊びだという状況になってしまっています。また、子供の多くも、こうした戦略ゲームや頭脳スポーツよりも惰性で遊べるコツコツ積み上げる形のゲームが好きで、そればかりを遊んでいる印象が強いです。こうした戦略的要素の強いゲームを比較的若い段階からやっておくと、何かについて自分から考えて意見を出す能力が備わるかと思うのですが、あまりそう思う人も多くはないみたいです。しかし、もし今後の事を考えるなら、こうした風説によって魅力的で、決して体に悪いものではないこのような頭脳スポーツを潰してしまうというのはあんまりな気がします。そろそろ考えを改め、適度にやったり、やらせてみるというのもいいのではないでしょうか?